ナマステ!
トリヴァンドラムから列車に乗ること5時間。
ケララからタミルナドゥへと州をまたいで、マドゥライまでやって来ました。
同じ列車の通路を挟んで隣の席に座っていたのは、同じくニャルダムアシュラムから移動してきたシヴァナンダヨガアシュラムのスタッフたち。
ラッキーなことに、このスタッフたちをマドゥライ駅まで迎えに来ていたアシュラムカーでアシュラムまで一緒に乗せて行ってもらえることに。
しかも、道すがら、ラマナレストラン(美味しくて有名な食堂)でパニールパラッタをご馳走になり、ibacoでアイスクリームまで奢ってもらってしまいました…
食いしん坊の神さまが降りてきた…!!
なんだか、マドゥライアシュラムに歓迎されているような気持ちに!
マドゥライアシュラム(Madurai Meenakshi Sivananda Ashuram)はインド内にある4つのシヴァナンダアシュラム(本家本元のシヴァナンダアシュラムを除いたヴィシュヌデヴァナンダ先生系列のアシュラム)の中で2番目に新しいアシュラムで、ドミトリーの作りなどもスペースに余裕のあるつくり。
コース期間を除いた時期は訪問者もそこまで多くなさげで、こぢんまりと静か。
わたしが到着した1月4日は、ちょうどコースとコースの合間の期間で、ゲストよりスタッフの人数の方が多いくらい。
サットサンガには、3列しか人が並んでおらず、家族のプジャのようで微笑ましい気持ちに。
ティータイムもみんながお菓子を持ち寄ったりして、本当アットホーム。
ニャルダムアシュラムの力強い空気感も好きだけど、わたしはマドゥライアシュラムの素朴でスローな雰囲気のほうが落ち着くなぁ〜と思いました。
ゲストもなかなか面白い方たちが集まってきています。
ヨーロッパからヒッチハイクでインドまで来たヒッピー風ドイツ女子。
日本を出て6年、滞在先でヨガ教室を開いて稼ぎながら旅している同世代の日本女子。
92歳のイギリス人おばあちゃんヨギや、海外でリゾート事業立ち上げを夢見て勉強&視察をして回っている台湾女子。
リタイア後で生活費節約も兼ね長期ステイしているアメリカ女性もいました。
あら。こうして書いてみると、女子ばかり。
男性ももちろん来てはいたんですけど、インパクトが強かったのは女性の方々でした。
当初は、とりあえず2週間の滞在予定で、もう十分だなと思ったり他に行きたい場所が出てきたらアシュラムを出ようと考えていました。
でも、日に日に楽しくなるアシュラムライフ。
ゲストの入れ替えはあるものの、中には中長期でアシュラムに滞在している人もいて、仲良くなってくるとだんだんと離れがたく…。
スタッフもみんな温かくてシャンティな人たちばかり。
知ってる日本語で一生懸命話しかけてくれるアサナクラスの先生、サジュ。
サットサンガ前によく一緒に星空を眺めたナンドゥ。
英語が堪能なウエスタンに苦手意識があったのに、チャーリーとマリふたりの優しさで心が開けた。
毎日真面目にレクチャーに出たニコル(右)とわたし。最後は毎日お互いお菓子の交換こ。
そして、わたしのアシュラム滞在が延長した最大の理由、インド版宮崎駿のようなお顔のスワミハリオムアナンダジ(左)。
スワミジのレクチャーに出るより他に、それ以上の価値ある時間を過ごせる場所が考えられず、ティルヴァンナマライへの列車の予約日ギリギリまで滞在することを決めたのでした。
英語のディスカッションで、半分くらい何話してるんだかわからない回もありましたが笑、でもスワミジが伝えてくれるメッセージは、とてもシンプルで腑に落ちることが多かった。
ユーモアたっぷりで、よく笑い、お菓子を差し入れると子供のような顔をして嬉しそうに食べてくれました。
「ヨギというと超人的な存在とイメージする人も多いですが、ヨギは普通の人間です。そしてとてもシンプルな生き方をします。毎日アサナとプラナヤマと瞑想をして、健康的に食事をとり、平和な心で暮らす。それだけでいいのです。」
わかりやすいですね。
「ケンカをしながら料理をつくってはいけません。ケンカをしながら食事をしてもいけません。ケンカは食後3時間あけてからしましょう。」
ですって。笑
マイケルジャクソンの長年のファンだった、という話を聞くと、より一層親しみが湧きます。その他にもサッカーワールドカップ中にはテレビにかじりついたり、アシュラムの外へコーヒーを飲みに出かけることが多々ある、なんて話も。
「ヨガはすごいポーズを取れるようになるために取り組むのではありません。それならば、アシュラムに毎日やってくる猿たちは我々よりよっぽど上手にハンドスタンドができるでしょう。わたしたちは、人間性を高めるためにヨガに取り組むのです。他の痛みに気づき慈悲深い人間になるためにヨガに取り組むのです。そのために瞑想があります。アサナとプラナヤマはあくまでも準備なのです。どれだけ難しいポーズを完璧に取れるか、何十秒間息を止められるか、そんなことは全然重要ではないのです。アサナの目的は背骨をまっすぐにキープして一定時間座ることができるようになればいいのです。プラナヤマは瞑想に集中できるようマインドを整えるために取り組みます。最初は毎日10分でいい。10分の瞑想を5年間続けてみなさい。とにかく10分座ることから始めればいい。必ず5年後には、世界が変わっています。」と。
ヨガティーチャートレーニングコースを日本で受け終わり、さてこれから先生としてクラスを持ってみようかどうしようか、今のわたしのアサナレベルでは先生として生徒の前に立つのは自信がないな、エネルギーやマインドの体も含めたヨガにまつわる経験が少なすぎるなと思い、インドで集中的にヨガに取り組むことを決めて来ていたわたし。
でもここで原点に立ち返りました。
そうだった。ヨガは競争ではない。優劣を決めるものでもない。
先生は太古のヨギが残してくれた偉大な哲学やテクニックをただ伝えるだけの伝承者だ。
誰かとの比較をもとに練習を積んでも仕方ない。
相対的なものは、いつだって優にも劣にもなり得る。
それよりも、自分の内側を体験すること。自分の変化に気づくこと。
それを大事にしようと思いました。
滞在中、サダナインテンシブという2週間の厳格なヨギ生活を送るプログラムやアドバンスティーチャートレーニングコースと重なり、アシュラムもいっきに滞在人数が増え、雰囲気も少し賑やかに変わりました。
それでも、猿と過ごすヨガホールでの昼休みとか
コース参加者への労いのご馳走とか
お休みの日にビーチへ出かけたりとか
サットサンガ後のプラサード(供物)とか
もちろん日々のアサナクラスやきれいな夕日、ときどきあるお寺でのプジャなど、わたしの心を楽しませてくれる出来事はたくさんあって、23日間のアシュラム滞在は、あっという間に過ぎていきました。
スコーピオンの練習に励んだ日々
目標にしていたいくつかのアサナポーズができるようになったことはとても嬉しかったけど、でも同時にアサナは練習すればきっと誰でも出来るようになるもんだと思ったことも確か。
これはそんなに特別なことではない、と。
さて。
大好きになったマドゥライアシュラムをついに出る時。
大好きだったのは、環境もさることながら、居合わせたメンバーによるものもかなり大きくて、みんなに感謝の気持ちを伝えて力いっぱいハグをして、お別れしました。
言葉にできない貴重な体験をありがとう。
感謝以上に、胸の奥でじゅわんじゅわんと温かいものが込み上げてきます。
ありがとう。本当にありがとう。
またいつかきっと。
Natsumi