リシケシでカラーリング

ビューティーパーラーマダム

ナマステ!

カラーリングっておしゃれに書きましたが、「白髪染め」です。笑
タイトルにするには、ちょっとストレート過ぎるなと思ってボカしました。はい。

日本を出て4カ月。
そりゃ白髪も伸びますよね。
だいたい1〜2カ月に一度のペースでヘナをしていたので、こんなに放置したのは初めて。
いやぁ〜ビックリ。こんなに白髪あったんだぁ…いつの間に…

で、そろそろヘナしたいなと思っていて、自分で粉買って染めてもいいかなとも思ったんですけど、(インドじゃヘナ粉めちゃくちゃ安いんで、)でも手袋もないし、いろいろ面倒になってきて、ビューティーパーラーに行ってみることに。

ラムジュラに二軒美容院があって、それぞれ料金を聞いてみると、
お父さんと娘ふたりでやってるわりと小綺麗なOM美容院は1500ルピー。
ちょっと古めのお店でマダムがひとりでやってるISHA美容院は800ルピーとのこと。
あ、これ、オーガニックヘナでなおかつブラック染めの料金です。ブラック染めってことは、インディゴとかが混ざってて100%ヘナではありません。
ケミカルのものはもっと安いんですけどね。

で、結局値段が安い方のお店に決めました。
なんかマダムもいいかんじの人だったし。
で、前日に「明日10時に来ますから準備しといてくださいねー。」と予約。
当日きっちりオンタイムで向かいました。

ここからは、マダムの独壇場。
手際よくヘナを塗りながら、待ち時間(浸透させるため)も含めた1時間半、わたしの相槌をときどき挟んで、99%彼女が喋り続けました。笑
でもね、すごく面白かったんです、彼女のお話。感心することもけっこうあって。
なので、カラーリングのタイトルをつけましたが、ビューティーパーラーのマダムのお話です。

ーーー
今朝はね、すごく早起きをしたのよ。あなたが10時に来るって言うからね。夫には今朝はダールを用意しなかったの。時間がなくてね。わたしはね、朝がとっても忙しいのよ。まず4時に起きてシャワーを浴びて、それからシヴァテンプルにお参りに出かけるの。それから家に帰ってきて、家族の食事を用意して、朝食を取って、洗濯をして、掃除をして、家事をすべて終わらせてから店に出るのよ。だから、とても忙しいの。今朝は3時に起きたわ。

これは、予約時間が早過ぎたのだろうか…と不安になる。

娘がね、「ママ、今朝はこんなに早く起きて支度をして、本当にあの人は10時に来るの?」って聞くのよ。だからね、わたしは言ったの。「それはわからない。来なかったらそれはそれでいい。早めに家事を終えたのだから、ゆっくりできるじゃない?シャンティに過ごす時間が出来るだけのことよ。」ってね。でもね、こうも言ったの。「あの人は正直な目をしていたから、きっと来ると思う。」ってね。けっこういるのよ、明日来るって言って来ない人。でも、あなたは来ると思った。だいたい人の顔を見ればどんな人かわかるのよ、わたし。

おぉ…!目の前のやるべきことをやって、結果を気にしない。まさにヨガ的!マダム!

家族はね、こんな寒い冬の朝にはお参りはお休みにしたらと言うのよ。でもね、わたしは5歳のときから毎日欠かさずお参りをしているの。これはわたしのカルマなのよ。どんなことよりも優先してすることなの。体調が悪くたって、助けを求めにお参りに行くわ。人間はとてもわがままなのよ。冬は寒いと言って、夏は暑いと言う。いつだったらいいっていうの?いつだって文句を言うのよ。そうじゃないの。いつでも完璧なのよ。いつだって神様が用意してくれた完璧な状態なのよ。

マダム!すごい哲学的!

わたしはお参りに行くときに猛スピードで歩いていくの。だから、薄着でもへっちゃらなのよ。お参りと運動、一石二鳥!息子がね、怠け癖があって、20歳だというのにもう白髪があるのよ。わたしはまだ1本しかないのに。一日中携帯を見てゲラゲラ笑っているから、数年後には眼鏡が必要になると言ったわ。息子は夢見がちで、なんでも親に頼めば手に入ると思っているの。だから言うのよ。「欲しいものはお金を稼いで買うのよ。お金を稼ぐためには、今すべきことをしなくてはダメ。」って。わたしは先に死ぬでしょ?きちんと独り立ちさせないといけない。健康的に生きることもそう。息子は「ママもヨガをやったら?」と言うけれど、わたしは毎日お参りをして家事をしている。これがわたしのヨガなのよ。

そのとおりです!マダム!

わたしの母はとても厳しい人だったから、子供の頃から家事を仕込まれて、あらゆることをやらされてきた。子供の頃は反発したい気持ちもあったけど、今は母の気持ちがわかる。わたしは何でもできる大人になったのよ。インド料理もなんでも作れる。あっという間よ。わたしは家事をしているときはとても集中しているから、余計なことを考えずにあっという間にやるの。ダラダラ家事をするのは好きじゃないのよ。パパッとやって、その後ゆっくりシャンティに過ごすのが良い。だから、結婚後も美容学校に通って勉強できた。
今は時代が変わって子どもたちは高等教育を受けているから、お金を稼ぐようになるでしょう?すると、何でも買えば済むと思うのよね。食べるものでも何でも。でもお給料だって決まった金額なのだから、なんでもかんでも買えるわけではないでしょ。節約も必要。食事は家で作るのが一番健康的で経済的なの。それに、お金を得るためには働かなくてはいけないし、働くならばいろんなことが出来た方がいい。
でもね、息子に言うの。「わたしはこう思うからあなたにアドバイスする。でも選ぶのはあなた。違うと思ったらそっちを選びなさい。」ってね。結局はわたしの意見がベストだと認めるんだけど。

マダムの集中力すごそう!
そして、息子さんへの愛情と尊重する気持ち、よく伝わってきます。

わたしは一日中、家と店を行ったり来たりで、とても忙しいでしょ?だから友達がいないのよ。笑
でもね、それでいいの。女友達が数人集まって会話すると、自然の流れで、陰口や噂話にどうしてもなるでしょ?わたしはね、なんでもストレートにものを言うの。後からコソコソ言うのは良くない。だから、そういう会話には入りたくないのよ。いい会話をしていると良いものが見える。悪い会話からは悪いものが見えるから。人生は短い。わたしには浪費してる時間はないのよ。
たまにこうしてお客さんとおしゃべりをして、いい時間が共有できたらそれでハッピーなの。

マダムの人生観、素敵です!

じゃぁ、そろそろ時間ね。流しましょう。
お湯でもいいけれど、色の保ちは良くないかもしれない。夫がね、先日髪を染めてきたときに水で洗うように勧めたのよ。色保ちのためにね。でも、彼はお湯で洗って一週間で色が落ちてしまって嘆いていたわ。「君の言った通りだった」ってね。わたしなんか、毎朝水シャワーなのよ。一年中真冬でもね。内側が強ければ大丈夫なの。メンタルが弱いと何でもすぐにダメになる。でも、わたしは強いのよ。だから風邪もひかない。結婚してから一度も寝込んでないわ。

水で!水でお願いします!わたしもヨガを志す者の端くれとして!

どひゃー!つ、つ、冷たい!!でも耐えるーーーーー!!!

わたしはね、毎日お参りをしているからときどき神様に願いを聞いてもらえることがあるの。息子が小学生の頃、インドの独立記念日に指定の制服を着て行く日があって、前日に洗って屋上に干しておいたのね。そしたら猿がネクタイとベルトをどこかへ持って行ってしまった。わたしは「あぁ、どうしよう。息子は明日先生に叱られてしまう。」と思って、お寺に行って神さまにお願いしたの。「わたしは毎日お参りをして、正直に生きています。あの猿はわたしの猿ではなく神さまの猿です。わたしにはどうすることもできません。できるのは神さまだけです。どうか息子のネクタイとベルトを返してください。」って。すると、どうなったと思う?そのあと屋上へ行ったら、ネクタイとベルトが置いてあったのよ。こんなことがあるもんだから、息子が「ママ、明日のテストがうまくいくようにお祈りして。」って言うのよね。でも人間はわがままでしょ。困った時だけ神に祈るのよ。違うの、幸せなときも、どんなときも、いつも神さまを想うのよ。それが大事なのよ。

まったく耳の痛い話です。困ったときの神頼み。何回したことか。汗

でもね、わたしにとってはお参りがカルマで大事なことだけれど、これはわたしのこと。家族に押し付けてはいけないの。ときどき夫には、ほんの一動作だけ、お祈りしてって頼むことはあるんだけれど、家族にはそれぞれカルマがあるから。わたしはわたしのすべきことをして、それでハッピーハッピーなのよ。

ーーー

マダムの顔は本当にイキイキとしていて、芯の強さと、しなやかさと、優しさが滲み出ていた。
二軒ある美容院のこちらを選んだことに、いい流れキャッチしたなぁ〜って感じがあったし、あぁ大切なことって、自分のアウェアネスさえ整っていれば、いつでもどこにでも教えてくれる先生がいるんだなって。別にワークショップやアシュラムやどこかの教室に行って、改まって学ぶことだけじゃないなって。

彼女の場合は、バクティヨギと呼べるのかな。お参りっていう行動を中心に、生活全体をきちんとコントロールできていて、大事なものの順番もハッキリしているから、無駄がない。

髪もしっかり黒く染まって、最後はドライヤーで髪を乾かしてもらい、満足してお店を出ました。
ありがとう、マダム。いい話が聞けて嬉しかった。

Natsumi

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